MDのネタが多くなっていますが…MDのコピーネタに新しい情報が入りましたのでご紹介します。
今回の情報は、コピーコントロールが入っているものがコピーできるようになりました。
MZ-RH1に代わるMiniDiscの取り込み(コピー、ダウンロード)
海外のサイトでMZ-RH1を使わずにポータブルNetMDを使用してMDをリッピングする方法を投稿していましたので、こちらで紹介します。
そもそもMZ-RH1とは何か?と言うことになりますが、MiniDiscが誕生して30年、今までMDからデータをデジタルで抜き出すことはMZ-RH1無しでは不可能でした。
MZ-RH1はソニーがMDをやめる際、MDにデータを格納したユーザーが取り出すことができなかったために、その機能(MDからPCへのダウンロード、コピー機能)を搭載して終焉に向かわせました。
そのMZ-RH1が発売開始されたのが2006年4月。
MZ-RH1はその機能ゆえ、人気が出たのですが、発売当時の価格は4万円…
撮りためた音楽を取り出すには少し値の張るものでした。
それから今年で17年の歳月がたちます。
これまではMZ-RH1しか持っていなかったMDからPCへのデジタル転送の機能、その機能故、オークションサイトなどでは、MZ-RH1の価格は2万円を下回ることはほとんどなく、新品だと10万円近くの値段がついています。
それが、2022年7月ごろに状況が変わりました。
Redditと言うサイトにMZ-RH1を使用せずに、ChromeブラウザとポータブルNetMDを使用するだけでMDから音楽データのダウンロードが可能になりましたというような投稿がされました。まさにゲームチェンジャーです。
投稿を見ていると、ソニーのポータブルNetMDに搭載されているチップのバグ?を利用して、独自のソフトウェアを動かしているようです。
サポート機器リスト
下記はMDからのダウンロードをサポートしているリストとなります。ほとんどの場合、NetMD Type-Sをサポートしたモデルになります。Type-R対応のものでも一部サポートされていますが、今後のアップデートに期待しましょう。
Device | Release | support | 日本でリリースされているもの |
Aiwa AM-NX1 | 2003/03 | Supported (Type-S exploits) | 〇 |
Aiwa AM-NX9 | 2003/04 | Supported (Type-S exploits) | 〇 |
Sony MZ-DN430 | 2005/12 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-N1 | 2001/12 | Supported (Type-R exploits) | 〇 |
Sony MZ-N10 | 2002/11 | Supported (Type-S exploits) | 〇 |
Sony MZ-N420D | 2004/04 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-N505 | 2002/03 | Supported (Type-R exploits) | |
Sony MZ-N510 | 2003/03 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-N520 | 2004/01 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-N707 | 2002/03 | Supported (Type-R exploits) | |
Sony MZ-N710 | 2003/03 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-N910 | 2003/03 | Supported (Type-S exploits) | 〇 |
Sony MZ-N920 | 2004/02 | Supported (Type-S exploits) | 〇 |
Sony MZ-NE410 | 2003/03 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-NE810 | 2003/06 | Supported (Type-S exploits) | 〇 |
Sony MZ-NF520 | 2004/05 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-NF520D | 2004/05 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-NF610 | 2003/04 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-NF810 | 2003/04 | Supported (Type-S exploits) | |
Sony MZ-S1 | 2002/04 | Supported (Type-R exploits) | 〇 |
この表の中で今でも手に入りやすいものは〇がついているもので、オークションでもそれほど価格が高くなく手にはいります。
今回はMZ-N910をサンプルにMDのデータをダウンロードしてみました。
取り込みソフト
MZ-RH1でMDからデータを読み書きしたり、NetMDでMDにデータを書き込んだりするためにはソニーが提供していたX-app(x-アプリ、x-Application)というソフトが必要でしたが、このソフトはWindowsVistaまでの対応だったと思います。

私はWidows11でも動作させていますが、当然サポートもなく、MZ-RH1のドライバをインストールすることもかなりの苦労が必要です。
もし、MZ-RH1を持っていて、X-appが見つからないという場合には、Chromeを使用してWeb MiniDisc Proというサイトにアクセスしてみましょう。
このページは、WebUSBという技術を使用して、ChromeでMDプレーヤーをコントロールできるようにしたものです。

アクセスすると上記のような画面になります。
MDプレーヤーをPCに接続して、CONNECTを押すと、MDプレーヤーが表示されますので選択するだけでChromeからコントロールできるようになります。
Mac、Linuxの場合は、ドライバなしでも認識されますが、Windowsの場合はドライバをインストールする必要があります。
ドライバはこちらから
Web MiniDisc Proの詳しい操作方法はこちらから
実際の取り込み
今回はMZ-N910とMZ-RH1を使用して、MD内にある音楽データをPCに取り込んでみました。
MZ-N910を使用した取り込み
MZ-N910の場合は、トラックを選んでから機器名称右横のメニューにある
「Homebrew mode ripping in main UI」を選ぶと、Downloadというメニューが表示されるようになります。
1つ目のトラックを選んで、PCに転送したものが下記の動画となります。
MZ-RH1を使用した取り込み
MZ-RH1の場合は、トラックを選んでからDownloadを選ぶだけで、PCに転送が始まります。
1つ目のトラックを選んで、PCに転送したものが下記の動画となります。
比較
動画を見比べた結果いかがでしょうか?検証する限りは、MZ-RH1の転送速度が速いので、数十枚~数百枚変換する場合などはMZ-RH1に軍配が上がります。
MDの枚数が数枚~数十枚程度で、MZ-N910や920などを持っていた場合やオークションで安く手に入った場合などは高額なMZ-RH1を用意する必要はないかもしれません。
今回ご紹介しているNetMD+Web MiniDisc Proを選択する一番大きな理由は、コピープロテクトがかかっているMDでもダウンロードが可能な部分だと思います。そもそもコピープロテクトがかかっているMDを持つ人がどれくらいいるかは微妙なところではありますが、MDの作成をPCで行っていたというような方には朗報なのではないでしょうか。
MZ-RH1の長所・短所
長所:取り込みが高速、Hi-MDにも対応している
短所:高額、アプリ・ドライバの導入が大変な場合がある
NetMD+Web MiniDisc Proの長所・短所
超長所:コピープロテクト(コピーコントロール)がかかっていてもダウンロードできる
長所:高額なMZ-RH1を使用する必要がない、ドライバなどが手に入りやすい、Chromeで作業できる
短所:Web MiniDisc Proが開発中、Hi-MDに対応していない
変換業者の長所・短所
調査したところ、こちらの業者がMDの変換では最安値でした。こちらも比較対象に入れてみます。
長所:データ変換をする必要なし、機器の購入がいらない
短所:変換に1枚400円~500円程度必要
変換比較
MZ-RH1 | NetMD | 変換業者 | |
価格 | 2万円~ | 1万円~ | 1枚500円~ |
ソフトウェア | X-app Web MiniDisc Pro | X-app Web MiniDisc Pro | 不要 |
変換時間 | 〇 | △ | ◎ |
Hi-MD対応 | 〇 | × | 〇 |
コピープロテクト (コピーコントロール) | ダウンロード不可 | ダウンロード可 | △ |
オーディオデータへの変換 | 必要 | 必要 | 不要 |
購入の目安 | MDを数十枚~数百枚以上持っている ドライバのインストールができる Hi-MDの資産がある | MDを数枚~数十枚持っている ドライバのインストールができる | 特になし |
上記の表から考えると、NetMDを持っていない場合で、20枚くらいの変換を考える場合だと、価格を考えると変換業者一択になります。
それ以上の枚数になると、オークションサイトと業者サイトのにらめっこになるかもしれません。
MZ-RH1は2万円~と書きましたが、この価格で問題がないMZ-RH1を購入できるかは少々難しいかもしれません。
ほかにもMDをUSBメモリに取り込めるラジカセなどがあるのですが、こちらはアナログデータでのコピーになるので、今回は外してあります。
取り込んだデータに関して
MDから取り込んだデータは、AEA形式という形で取り込めるので、VLC Playerなどで再生できます。mp3やほかのオーディオコーデックにする場合は変換が必要です(VLC Playerでmp3に変換できます)。他にもffmpegを使用しても変換可能ですが、詳しい使い方はネットで探してみてください。
まとめ
今回はMD内のデータを取り込みたい場合に、MZ-RH1が必要ないかもということに関して海外で盛り上がっていたので、こちらに書いてみました。
MZ-RH1の販売から17年がたっているので、オークションサイトでもなかなか手に入らない状況が続いています。
中古のものはノークレームノーリターンのものが多いのでこちらもギャンブル要素が高く、数枚程度の枚数だと手を出しにくいです。
世の中にあるポータブルNetMDを取り込みデバイスにしてくれた開発者には感謝しかありません。